第95話
5.彼等の記録愛の代償

「……わ。すごい月くん、何でもできちゃうんだね」


……パスワードを教えていた訳ではなかったのか…
……だとしたら、何故彼女はこんな反応を取る…?知らぬ間にパスワードを把握されていたというのに…
それを咎めるどころか、小さく拍手までして、にこにこしている。
……意味がわからない…
元々パスワードを教え合う制度を設けていなかったというなら、当然恋人のプライバシーを尊重するスタイルを取ってきたのだろう。
だというのに、突如プライバシーが壊されたのを目の当たりにして、発した言葉が「すごい」というのは…


「…何でもは無理だけど…に関することだからね」

……夜神月の反応も、理解が及ばない…
いくら彼女が褒めたからと言って、悪びれずもせず「恋人に関することなら何でも掌握している」と宣言してのけた。
彼女に褒められて、照れくさそうに笑っている。

こんな意味のわからないやり取りを見せられては、深読みする気も起きない。
世間はこれをバカップルと呼ぶのだろう。
他人が呆れるその様を演じる事で私の目を欺こうとしているのなら、上出来だ。
今この一瞬だけは、私も馬鹿らしすぎて疑う気にもなれなかった。

携帯を少し持ち上げて、彼女に見えないようにしながら、夜神月は携帯を操作した。
彼が操作している画面は、私の角度からは覗き見れる。
丁度メールボックスを確認している所だった。
その間にも、絶えず新着メッセージが届いている。


「……これは…確かに度が過ぎてるな」
「…なに?」
「一番しつこいのは火口だろうけど…一番に入れ込んでるのは紙村ってやつかな」
「……私、ミサが携帯三つも持ってる理解がやっとわかったかも」
「ああ、そうだろうね…」

弥海砂は携帯を3つも持っていて、接待の間も連絡を聞かれ、プライベート携帯以外のものを使って連絡先の交換を行っていた。
彼女がいくつも使い分けている理由は、彼等の想像の通りだろう。

「……私、もうモデルのお仕事しないつもりだったけど…少なくとも、ヨツバさんの広告のお仕事はしなきゃだよね」
「ん…そうだね…少なくとも、今辞退する訳にはいかないね」


は、あきらかに声を暗くして、弱弱しく言った。夜神月も今さら「しなくしていい」など言えるはずもなく、同じように声色を暗くして頷いていた。
はしばらく真剣な顔をして何か考えた後、くるりと私の方を振り返り、口を開いた。


「竜崎くん、ちょっといいいかな」
「なんでしょう」
「……私、買い物にいきたい。…だめ、かな」
「ダメ、という事はありませんが…」

彼女の表情は真剣そのもので、切羽つまっていた。それこそ、今夜神月に抱えられたままの体制でいる事を恥じる余裕もないほどに。


「できれば、今日」
「………さんは男性不審の気でもあるんですか?もしくは潔癖症」


リハビリが必要だったあの時。彼女は肉体的にも精神的にも、外出する必要があった。
だというのに、少数精鋭の現場に配慮し、監視下から抜け出し外出したいとは言わなかった。
そんな彼女が、珍しく要求してきたかと思えば、性急に事を進めようとする。
鬼気迫る様子…といっては言いすぎか。
本人でなく、夜神月に視線をやりながら問うと、彼はただ苦い顔をするばかりで、何も答えなかった。
答えられないのか、答えるのも憚られるのか。


「接待の時は中々のやり手だと思ったんですけどね。訂正します。さんは、案外芝居が得意だったのかもしれません」
「………」

は何を言えば自分の思うように事を運ぶ事ができるのか、心得ている。
しかしそれが出来るのは、彼女が自然体であれる時だけ。
この様子を見るに、男性に言い寄られるのが嫌でたまらないのだろう。
つまりは、接待の時に見せていたあの積極的な姿は、素ではなく、ただの演技。
相当無理をしてやっていたのだろう。連絡先だって教えたくなかったはず。
けれど断っては角が立つし、潜入捜査の意味がなくなる──
全ては真面目な彼女が、責任感だけで行った事だったのだろう。
夜神月は何も言わず、ただ彼女の肩に顔を埋めた。

「いいでしょう。……では模木さん、出ずっぱりで申し訳ありませんが、今からさんの買い物に付添ってくれませんか?」
「はい。問題ありません」
「…模木さん、すみません」
「いえ。これが自分の仕事ですから」


「買い物に行きたい」と彼女が言いだした時、私はちらりと模木さんに目配せをしていた。
夜神さん達と共に捜査作業に戻っていた彼も、それに気が付き、こちらの様子を伺ってくれていた。
私が頼むと、彼は快く頷く。
が申し訳なさそうに言っても、少しも気を悪くした様子を見せない。
言葉通り、それが彼の仕事なのだ。彼もと同じく、責任感が強く、職務を忠実に全う出来る人間だった。

「車を回してきます」
「…ありがとうございます」


模木さんが言うのと共に、は立ち上がろうとした。

「え、」

しかし、それは叶わなかった。夜神月が彼女の腹に回した力を強め、逃がさないように留めたのだ。
少しの間どうしよう…と困ったように口元に手をあてて考えてから、おずおずと夜神月の手の甲を軽く撫で、無言で合図を送っていた。
離してほしい、という合図だという事くらい、察せられただろう。しかしあえて彼は気づかないふりを貫き通し、拘束を解かず、肩口に顔を埋めたまま我儘を言った。


「……月くん」
「……離れたくない……」
「月くん。ここは照れてください」

先程からかった時とは違い、今度は心底呆れて言うと、夜神月も渋々手を離そうとして…
しかしまたすぐに、手を元の位置に戻した。
この様子では私がどう煽ったって、きっと子供じみた言い訳をするだけだろう。
説得できるとしたら、だけだ。
彼女にそれとなく視線をやると、その視線に含まれた意味は伝わったらしく、困ったように眉を下げた。
視線をさ迷わせ、何度か言葉を探すようにして口を浅く開いて、閉じてと繰り返し…

「……月くん。えと……、……また…後でね」

ぎゅっと目を瞑り、心底恥ずかしそうな表情をしながら小さく言った。
その瞬間、パッと夜神月の手が離れる。
彼女のたった一言で、こんなにも劇的な効果が表れる。

「…

彼女の手を取りながら、立ち上がる手助けする夜神月。
椅子に座り、恥ずかしそうにむくれる彼女を見つめる夜神月の目は細められていて──まるで眩しいものをみるかのように──
その頬は、ほんのりと赤く染まっている。
彼女は羞恥で視線を合わせる事できずにいて、彼の表情には気づかない。
ダダをこねた男を操るための、見え透いたたった一言で喜ぶ男の恍惚としたその目を…その意味を。彼女は正しく知っているのだろうか。


「"またあとで"…何をしてくれるのかな。楽しみに待ってるよ」

からかうように笑うと、は耐えきれなくなったようで、振り返りもせすに小走りに出ていってしまった。
車を回してくれた模木さんが、上まで迎えに来ようとしている姿がモニターに映っている。放っておいても合流できるだろうし、とは模木さんに任せていいだろう。
モニターから視線を戻し、隣の席で機嫌よさげにしている男に声をかけた。


「……月くん。もう一度言いますが、いい加減照れてください。嫌われますよ」
「まさか。…はこんな事くらいで、僕の事を嫌いにならない…いや、なれないよ」

くるりと椅子を回転させて、デスクへと向かって、捜査を再開させようとする。
そんな彼の横顔をじっと見つめ──再び、私は問いかけた。


「…もう一度聞きます」
「ん?」
「…のことを、愛していますか?」
「………何度聞かれても、答えは変わらないよ」

再三同じ事を問いかけられ、怪訝そうにしていたが、それでもその言葉を口にする瞬間の彼は…心底嬉しそうに目を細めている。

「──僕は、>を愛してる。が傍にいてくれるなら…他にもう、何も望まない──…」

夜神月は高揚していて、以前頬はほんのりと染まっている。
迷うことなく、恍惚と言い切った彼の姿をみて…私はようやく、バラバラだったパズルのピースがハマったと感じた。

「…そうですか。ありがとうございます」
「…?なんでお礼なんて」
「いえ、気にしないでください」


夜神月は一瞬訝し気にこちらを見たものの、すぐに視線を戻し、作業に没頭し始めた。
規則正しく響くキーボードの打音を聞きながら、私はデスクに視線を戻す。
シュガーポットの蓋を開き、飲みかけのコーヒーの入ったソーサーを引き寄せる。
ソーサーの淵に、1つ1つ角砂糖を乗せながら考える。

人は、悲しくもないのに泣く事ができる。
…正解には、悲しいという感情をわざと思い浮かべて、涙を零せる。役者がやる手口だ。
人は嬉しくなくても、笑みを浮かべる事ができる。嬉しいふりをして、表情を動かす事ができる…
けれど、演技で頬や耳を染める事など出来る人間は、ほとんどいないだろう。
そもそも演技で涙を流す事ができる役者も多くはないのだ。
私は、だんだん夜神月の抱く"愛"を疑わなくなっていた。100%とは言わない。
けれど可能性は限りなく高いだろう、と。

──キラが愛を知る人間のはずがない…人を信用できるなら神の捌きなど…
──夜神月がキラだと私はほぼ確信している──しかし夜神月は愛を知っているとしたら…
──愛とキラの持つ傲慢さを両立させる事など不可能…

…そう考えていた。けれど。前提が違ったなら?
キラは人を愛する事のできる、人よりも優秀なただの人間だった。
しかしキラの愛する人は過去、悪意に傷つけられた。
キラは人間の持つ悪意がついに許せなくなった。そんなとき、キラは殺しの「能力」を授かった──
キラは、決めたことだろう。愛するものを害した人間を排除することを。
そして、今後一切愛するものが傷つく事のない世界を創ると決めた。
キラは悪人が存在する世界を許さない──キラが神なのではない。キラにとっては、愛するものこそが神に等しい──
すべての判断基準は、愛するものの──

「……──竜崎」

コツン、と音を立てて、ソーサーの淵に乗り切らなかった角砂糖が零れ落ちた。
1つが零れ落ちた時の弾みで、積み上げられた角砂糖が崩壊し、1つが床に転がり落ちてしまった。

「…食べ物で遊ぶなよ。ほら」
「……さすがにそれは食べません」
「捨てろってことだよ」


夜神月の足元に転がった角砂糖を彼は拾い、手渡してくる。
呆れた様子の彼の瞳をじっと見つめながら、落ちた角砂糖を受け取り、じっと手のひらに乗ったそれを見つめた。

何度でも言うが…私は夜神月がキラだと強く疑っている。しかし100%の確信はない。
それと同じくらい、夜神月が抱く愛を、本物だと…今ではほとんど確信していた。
根拠は、彼の幾度となく繰り返された愛の言葉と、あの恍惚とした目…紅潮した頬…
そうだとすれば、全ての辻褄が合うという事。
仮ににキラの能力の存在を教えておらず、殺人が行いづらくなったとしても、
夜神月は変わらず彼女を傍に置く事を選ぶだろう。
全てはどうしても離れ難い、愛する彼女のためなのだから──。

それから暫くして、模木さんから連絡が入った。


『申し訳ありません!を、火口に連れていかれました!』


それを聞いた瞬間、夜神月は酷く狼狽えた。私はもう、それを演技だとは思わなかった。
キラは不遜で傲慢だ。この考えに揺るぎはない。
キラは裕福なこども。自尊心も知能も高いだろう。──愛のため。それが人を殺す免罪符になる訳もない。
だとすれば、やはりキラに対して抱く考えは以前と同じままだ。
けれどただ、哀れだと思った。
私は世間一般の人間と同じような環境では育たなかった。けれど、隣人を愛せよという言葉くらい知っている。
愛が尊いという事は教えられているし、他者を思いやる心があるからこそ、平和は保たれるもの。
平和の象徴である尊い愛が、殺人の原動力にされているかもしれないというこの仮説。
それを考えると、軽蔑より先にくるのは、ただの憐憫だ。

「…落ち着いてください、夜神くん。現地には模木さんがいます」
「でも、連れてかれたって、」
「拉致されたという訳ではないんです。さんは賢い人です。上手くやれるはずですよ、……確かに負担にはなるでしょうけど、それで心折れるほど弱くはないでしょう」
「……ああ、…そうだな」

火口に連れ去れさられたと聞いて、バッと椅子から立ち上がった夜神月に向け、窘めるように言う。
彼はぐっと歯を食いしばるようにして、ゆっくりと椅子に座り、ため息をついた。

は、夜神月がパスワードを解いたあの時のように、「すごい」と言ってくれるだろうか?
──もし夜神月がキラだとして。
──もしキラが愛のために大量殺人を犯したのだとして。
──それがのためだったとして。

それを知った彼女は、変わらず彼を愛し、笑ってくれるだろうか。
「さすが月くん」と言って、笑ってくれるのだろうか?


「……戻りました…」


数時間後、憔悴した様子のが本部に戻った時、夜神月は彼女を強く抱きしめる。
私は変わらず、彼等のその様子を一歩後ろから眺めていた。

は本部に戻ってすぐ、パッと頭を下げる。
珍しく我儘を言って強引に出かけ、その結果、偶然とは言えトラブルに見舞われた。
自分の行動の結果だと甘んじて受け止め、責任を感じているらしい。
そもそも彼女が買い物に行ったのは、潜入捜査の一環で得たストレスの一端を解消するため。
そのために向かったはずが、その先でストレスの根源そのものと遭遇した事に対し、災難だと同情する者はいても、責めるものはここにいない。
その証明に、夜神さんも松田さんも、そして模木さんも気遣わし気にを見やっていた。


「竜崎くん、模木さん、ごめんなさい。せっかく外出させてくれたのに、買い物できませんでした…、ええと実は…、」

顔を上げてその言葉の続きを口にしようとしたところで、夜神月が彼女を抱きしめた。
そうなるだろう事は予想できていたので、引きずられる前に立ち上がり、彼の後ろを着いて歩いた。


が謝る必要なんて何もない!…、何も…されなかったか…?」
「……なにも……」


その問いへの答えは帰ってこない。沈黙は肯定という言葉がこれほど似合う場面はそうないだろう。
付き合いの長い夜神月でなくとも、皆災難にあった事を理解し、ますます痛ましげにみていた。
夜神月はその比ではなく、まるでこの世の終わりを嘆くように彼女を憐れんだ。

「…ああ、…かわいそうに…」

に恥ずかしがる気力など残っているはずもなく、夜神月のされるが儘だった。
彼女は出先で偶然火口と遭遇し、半ば無理やり火口の車に同乗し、ドライブする羽目になったのだという。
模木さんが強引に止める事もできたが、模木さんが潜入捜査との安全、どちらに天秤を傾けるか迷ったその瞬間、彼女自身がそれを決断したと聞いた。
彼女は脆く繊細な一面もあるが、責任感が強く、意思も弱くない。
夜神月に言った言葉に偽りはない。確固たる信念と決断力のある人間が、これで折れるほど弱いとは思わない。
そんな姿を視界にいれながら、今後の懸念点を口にする。


さんの潔癖症が、悪化しないといいんですけど…」
「…竜崎、もっと他に言う事はないのか?」


夜神月が低い声を出し、背後を振り返って睨んだ。
かと思えば、彼女に回していた腕を一度解き、肩を掴む。
そのままくるりと私の方へ対面させる形を取らせ、まるで憔悴した姿を見よと言わんばりだった。
いや、実際にその通りなのだろう。間近で見た彼女は顔面蒼白といって差し支えなく、疲弊しきってる。

その姿をじっと見ながら、「そうですね」と呟いた。


「潜入捜査お疲れさまでした。皆さんは危険だと言うでしょうけど…あそこで火口を拒絶しなかったのは英断です。彼らにいい顔をしておく必要があります。それこそ、色仕掛けでもなんでも、私は必要だと考えてます。名前さんのおかげで、より信用されたはずです」
「……」


私は謝罪こそしなかったが、彼女を労ったことで夜神月の溜飲は多少下がったらしい。
しかし、それとは反対に、は震え、泣き出してしまった。

「月くん…ごめんね…、…ごめんなさい…っ」
「…そんなに酷いことされたの?」
「違うの…私が…私が、思わせぶりなことしたから…」


一瞬、一線を越えた手を出されたのではないかと本部の空気が張りつめたが、彼女から否定の言葉が出てきた事で、皆胸をなでおろしていた。
しかし、泣く程に嫌なことがあったらしい事は事実。
ここには正義感の強い元刑事と、刑事志望の青年しかいないので、空気は酷く重い。


「……気があるような素振りをしたの?」
「……。……それと、キラを崇拝するようなことを…」
「…………」


は夜神月の言葉を否定しなかった。気のある素振りに、キラを崇拝するふり。
潜入捜査の一環でとった行動としては、間違っていない。
しかし夜神さんたちが言うように、キラを崇拝したり、第二のキラであるかのように見せかけたり…そのように振舞うのは危険が伴う。それも事実。
夜神月は、それを思って言葉を詰まらせたのだろう。
私のいる所からは、彼女の表情は伺えない。
しかし夜神月の言葉を勘違いしたらしく、彼の腕の中のは…怯えでもしたのかもしれない。
夜神月は俯いていた顔をバッと顔を上げると、改めて彼女と視線を合わせるようにして言い聞かせた。


…僕は責めたり、怒ったりはしてないよ。突然の状況だったのに、はよく頑張ってくれたと思う…僕は、ただ心配だっただけなんだ。気のある素振りはまだいい。でも、崇拝するような事を言うのは、どうしても危険が伴うから…」

彼女の頬を撫でるその手はそのままに、夜神月は私の方をちらりと見ると、厳しく睨むようにしながらこう言った。


「…竜崎。これ以上を巻き込むのはやめてくれ。は責任感が強いんだ。
それが無茶な事でも、なんでもしてしまう。…それなのに身を守る手段を持ってないんだ。何かあったらどうする?」
「私達の監視の目から離れた場所で、火口と接触する事になったのは予想外のことでした。けれど今ヨツバの広告塔の採用を辞退する、という訳にはいきません。月くんもそれを分かってるはずですよね」
「…それは、そうだが」
「私達は勝ちます。私にはその自信があります」
「……」

を心から愛する夜神月。捜査員として最低限私情を挟まないよう、一線は守り続けているが…
彼女を進んで危険には晒せないだろう。回避できるなら、弁の経つ夜神月のことが。
言いくるめようとする。
けれど同時に──間違いようもなく…夜神月は負けず嫌いだ。


「月くんには、その自信がないんですか?」


私は勝つと断言した上でこう言えば、夜神月がこれ以上食って掛かる事はない事を理解していた。夜神月は答えを口にしなかった。けれど、大きくついたため息が返事の代わりのようなものだろう。
私から視線を外し、の方へと再び向き合う。



「…
「…なあに?」
「…携帯預かるよ。嫌じゃなければ」
「…いいの?」
「もちろん。結局、買い物いけなかったんだろう?メールチェックは僕が代わりにしておくから」
「…ありがとう…」


はやっと落ち着いたようで、強張って掠れていた声も穏やかなものに戻り、様子を見守っていた松田さんたちもホッと安堵していた。


「やっと笑ってくれた。…に泣かれると、なんだか落ち着かない…」
「…ごめんね。困っちゃうよね…」


携帯を取り出そうとしているのだろ、手に引っ掛けていたバックを開きながら、再び声色を暗くしながらは謝った。

「あ、いや…そういう意味じゃなくて…罪悪感、みたいな…」
「…?月くんのせいで泣いてるわけじゃないよ…?」
「…そう、…なんだけどね…」

歯切れ悪く会話する夜神月は、その罪悪感というものがどんなものであるのかを説明する気はないらしい。
さすがにこれ以上の立ち話もしていられず、彼等の親密な時間を邪魔をすると理解していながら、軌道修正させるように問いかけた。


「…それで、さん。火口と会話してみて、どう思いましたか」

は涙も収まり、大分顔色もよくなっていて、冷静に受け答えが出来るようだった。
少し考えた後、ぽつぽつと語り出す。

「……火口さんは、Lについて、凄く知りたがってた。それって、ヨツバの人はみんな知りたがる事なのかもしれないけど…でも…」
さんはLと接点がある事に加えて、キラを崇拝しているような事も話した。そうですね」
「…そう。私がキラを肯定してるかどうか、知り違ってた。それで…そう匂わせるような事を言ったら、喜んでた。……それって…」
「はい。私も怪しいと思います。その引っ掛かりは、勘違いではないと思いますよ」


勘違いではない、と言った瞬間、皆の顔色が変わった。松田さんはを目を丸くしたあと、恐る恐る問いかけてくる。


「…竜崎。それって、火口がキラってことですか…?」
「まだ断言はできません。怪しい、と言っただけです。しかし…キラを肯定されて喜ぶのは誰でしょうか?キラ信奉者であれば、賛同を得られれば喜ぶでしょう。…そしてキラ本人であれば──自分の行を肯定されれば、やはり喜ぶでしょうね」

=キラとも断言できない理由は、まだ判断材料が足りないからというだけではない。
キラの能力を持つのが火口ではなく、火口と通じる相方である…とか。
あの会議に参加するヨツバのメンバーは、決して一枚岩ではない。
全員が全員脅されている訳ではない、という可能性もなくはない。
可能性だけ挙げれば、きりがないが…


さん。車内でどんな会話をしましたか?思いだせる限りで話してください」
「……手を、握って…話しました。Lについて知ってるような素振り、キラを崇拝するような言動…これを口にする事は決めていましたが…そこだけに興味を持たれても、困る、から…だ」
「と、いうと?」
「──離さないで、といいました。監禁されて寂しかったし怖かった。手を繋いでいてくれたら安心できると…庇護欲、を……」


詳しい説明を求めると、言葉を続けるほどに気分が悪くなったようで、は口元を覆って青ざめた。夜神月は彼女の肩を慰めるように抱き、私が暴き立てる事を咎めた。


「竜崎、もういいだろう。これ以上に負担をかけるな」
「いえ、今のはさんがした事でしかありません。せっかく身を削って捜査を行っても、情報共有されなければなかった事も同じになってしまう。火口が言った事を、もう少し詳しく話してもらわなければなりません」

自分が彼女に肩入れしすぎているという自覚もあり、また私の言い分にも納得がいったのもあるのだろう。夜神月はそれ以上に止める事はなく、しかし苦々しい表情で私達のやり取りを見守っていた。

「やっぱり火口は怪しいですね…」

全て聞き終えた後、まず初めに松田さんが言った。それに続くようにして、夜神さんも頷いている。

「火口が怪しいと知れたことは収穫です。引き続き情報を集めていきましょう。私もさらに細かくヨツバの動向を伺えるよう、手配します。
…それに…明日は更に"何か"起こるような気がしてます。…皆さんもう休んで結構ですよ」

午前にはヨツバでの面接があり、午後には買い出しに行った先で火口とのドライブだ。
今日は本部内も、そして外に出たメンバーも慌ただしく動き続けていた。
が本部に戻ってきた頃には既に、日も傾いていた頃だった。
説明を終えた今ではもうすっかり夜も更けている。
今日一日潜入捜査を続ける羽目になり、間違いなくこの中で一番疲弊したのはだろう。彼女を気遣う意味を多分に含めた言葉だったが…
ここには定時なんてものはなく、皆それぞれやりたいように好きな時間に捜査を進めている。けれど今日ばかりはあえて、休めと彼等に進めた。


*****


次の日、朝8時になると、夜神月がふとモニターを見上げた。
その視線の先には、やはりの姿があった。
弥海砂には目もくれたこともないが…夜神月は定期的にモニター越しの彼女をみて、表情を緩めている。
それで捜査の手が滞るような事があれば咎めたが、息抜き程度に収まっているので黙認している。
ベッドから起き上がった彼女はしばらくぼーっとした後、ベットから降りて起床の準備を始めて、洗面所に行って身支度を始めた。

着替えを終えてエレベーターに乗った彼女は、弥海砂の部屋に行くのかと思った。
弥海砂とは仲良くしていて、頻繁に部屋を行き来している事がそう考えた一因だ。
それに加えて…彼女らは捜査員ではない。今回は私の意向で特別に臨時の潜入捜査員として動いてもらったが…ただの監視対象でしかない彼女たちは、基本、本部があるこのフロアまでは立ち入らない。
用事がある時は内線を使って連絡をしてくる。
エレベーターがこの階に止まった事によって、はじめて彼女の目指す先がこの部屋である事を知った。


「月くん、竜崎くん。おはよう」
「おはようございます」
「おはよう、


彼女の来訪に気が付いているのは、私と夜神月のみ。
夜神月は椅子を回転させて、を待ち構えた。本当なら駆け寄っていきたいのだろうが、手錠で繋がれているという事をある程度は弁えてくれているらしい。
夜神さんを中心にして、松田さん、模木さんはテーブルを囲んでソファーに腰掛け、ヨツバグループに纏わる議論を重ねている。
白熱しているのが見てわかったのだろう、彼女は私と夜神月にだけ挨拶をして、微笑んだ。
その様子を見るに、何事か思いつめ、深刻な相談をしにきたわけではないようだ。
けれど用もなくここに訪れる事はあり得ない。
私達がじっと彼女が切り出してくるのを待っていると、おずおずとこう尋ねてきた。


「……今日のミサのロケ、またついて行っていいかな?」
「……仕事がしたいんですか?」


昨日の今日で彼女がそう打診してくるとは思わなかった。珍しく「出かけたい」と彼女本人が申し出た結果、火口に捕まったのだ。
あんな不運な事は2度も起るまいと高を括っているのか。はたまた、別の意図があるのか…
探るように問うと、彼女はきょとんと目を丸くして、不思議そうな顔をしたまま緩く首を横に振った。


「え?したくない…」
「ふっ………」


が即断すると、夜神月が思わずといった様子で吹き出していた。
口元を手の甲で覆って笑う姿をみて、は頬に手をあてて恥じらっていた。
働きたくないという言葉だけを切り取ってみれば、まあ面白いのだろう。基本勤勉な彼女が言うからこそ。
彼女は手をひらひらと振って、慌てて否定した。その頬は少し赤くなっている。


「仕事するのは嫌いじゃないの。でも、タレントの仕事は私には向いてないと思う……」
「では、単純に見学がしたいだけという事ですね」
「うん。ちょっと…気晴らしがしたくて」
「……」

気晴らしがしたい…。
出かけた事で嫌な目にあったの凝りていないのでなく、出かける事で嫌な気持ちを払拭したいと…
ストレス発散の方法など人それぞれだ。何もおかしい事はない。
……ただ…。
デスクの上にはいつも通り、ソーサーに乗ったカップと、シュガーポットがおかれている。
蓋が開かれた状態のポットに指をいれこみ、白い塊をぽとぽと水面に落とし考える。
申し出に対して、いいも悪いも返ってこない事で、は不安そうにしている。
夜神月の方は、何を考えているのかと訝し気にしている。

「まあいいでしょう。さんは責任感はあるようですが…こちらが提示する以上の無茶はしないでしょうから」
「……竜崎」
「私が色仕掛けをしろと言ったから、さんはそうしたんです。一度は撤回した作戦でしたけど…。それ以上の事はさんに要求してません」

は何のことかわからないといった様子で目を丸くしていたが、夜神月はすぐ目の色を変えて噛みついてきた。
まさかあんな目にあったのに、これ以上無茶をさせる気かと、夜神月の心の声が聞えてくるかのようだ。
そんなつもりは毛頭ない。

「身の丈をわきまえてるという事です。私は時にはリスクを侵してでも事件解決のためには攻めるべきだと思いますが、何も命を捨てろとまでは言いません」
「…つまり?」
「月くんの心配する事はもう起こらないでしょう。万が一昨日のようにヨツバ社員と遭遇しても、今度は模木さんに理由をつけてもらい、ガードしてもらいます。過剰に接近しすぎるのも悪手です」


曖昧な言い回しをしてお互いの腹を探り合っている私達を交互にみて、は困り果てていた。
それに気が付いて、今度は彼女へ向けてハッキリと承諾の意を伝える。


「出かけて構いません。…模木さん、今日もお二人の監視、よろしくお願いします。さんについては、先ほど話した通りに」
「はい。わかりました」


ソファーに腰かけ、書面を裁いていた模木さんは、話を降られるとすぐ頷いてくれた。
書類仕事半分、会議半分。
がきた事で、マネージャーとしての責任感が働いたのかもしれないが…
忙しい中でも、こちらの様子もきちんと伺っていたようだ。
は柔らかい笑顔を浮かべて、「よろしくお願いします」と模木さんの元へと歩み寄って行った。

「今日のミサのロケは何時からですか?」
「正午から夕方までの予定です」
「じゃあ、お昼前にまたここに来ますね」
「いえ、自分が部屋まで迎えに上がります」

ソファーに腰掛ける模木さんの傍らに立ち、予定を立てる彼女の横顔をみる。
そんな私の視線が向かう先が何であるのか気付いたようで、夜神月は何事かと問いかけてきた。


「どうした?竜崎」
「…いえ、何も」

何もない、というアピールをして、視線をモニターへと戻す。
何か引っかかりを覚えたらしい夜神月も、私がそうするとひとまず疑問は胸に収めたようだ。
の来訪で止まっていた手を動かし、キーボードを叩きだす。


──その日の午後。私の予感していた通り、事件は起こった。


***


『竜崎。模木さんからです』
「はい」

ワタリから連絡があり、すぐに模木さんへと繋がる。
これは松田さんがマネージャーとして動いてくれていたときもそうだったが、
何も問題事が起こらなければ、中間報告のようなものはしてこない。
つまり、出先から電話がかかってくるという事は、こちらと意思疎通を取らなければ動けない予想外の事が起こったという事。

『すいません、弥に東応女子医大病院で騙され、見失いました』

体育会系のマネージャー役として演技している時以外、あまり声を荒らげない模木さんが、珍しく動揺した声を出している。
予想通り、大問題が発生していたようだ。

「何をやってるんだ?ミサミサ」
「それを言うなら模木だ。何してたんだ」
「……まあ遊びたい盛りにずっと監視では気持ちはわかりますが…」
「それだけならいいが…」

松田さん、夜神さんがあれこれと言う中、夜神月は携帯を取り出し、弥海砂の携帯へ電話をかけていた。

『電話に出る事が出来ません。メッセージのある方は…』
「僕にはいつでも連絡つくように約束しておいた携帯を切っている…」

わかってはいたが、これで確定か…
昨夜の弥の夜神月に対する反応は変だった…いつもなら「ライトの為ならと自分の身の危険は」食ってかかる所を素直に引いた。
そして夜神月との連絡を絶つ行動…おそらく…
考えつつ、模木さんに続けて問いかける。

「…それで、さんはどうしました?」
『……はい?』
さんは、弥と一緒に?」
『いえ、さんはここにいますが…』
「そうですか。それはよったです。では、一度本部に戻ってきてください」

は模木さんの側にいると聞いて、夜神月は安心していた。
弥海砂が脱走したと聞いた時から、「一緒に」どこかへ消えたという可能性は脳裏に過っていたのだろう。
東応女子医大病院は、この本部から遠くない。
模木さんはを乗せ、車ですぐに本部へと戻ってくる。
模木さんが駐車場に車を止め、セキュリティーを解除し、エレベーターを上がる。
その様子はモニターに映っていたが、夜神月は終始落ち着かない様子でいた。
とはいえ、彼女の無事は電話でも、この監視カメラでも確認できている。
身の危険が迫った訳ではなく、ただ弥海砂が単独犯で脱走しただけの事。
そう軽く構えすぎていた。…いや、夜神月を信用しすぎていた。

!」

夜神月はの姿を見るや否や、椅子から立ち上がり駆け出した。
そうなれば、手錠で繋がれてた私が引きずられるのは当然だろう。
こうなると予想できていたのなら、私も事前に立ち上がっていた。
逆に私が夜神月を引きずる時もあるし、お互い様といえばお互い様だし、この程度見越せなかった私が愚かだった。

「いきなり走らないでください、夜神くん」

私が文句を言っても、全く聞く耳をもたない。
の肩を掴み、無事を確かめている。

「よかった…まさかミサと二人で抜け出したのかと思って心配したよ…」
「…えと…ごめんね…?」

には全く落ち度はないというのに、困り果てた彼女の口からは自然と謝罪が口に出ていた。
それ以外に何を言っていいのかわからなかったのだろう。
模木さんが電話をして彼女の無事は伝えていたし、彼女自身それで問題はないと思っていたはず。
かと思えば、本部に足を踏み入れた瞬間熱烈に心配され、行方を眩ませたかと思ったと言われる始末。
はふと、夜神月の肩越しに私の存在を見つけたらしく、「竜崎くん、」と口を開き、こちらへ歩み寄ってきた。
けれど、彼女が私の元まで辿り着く事はなかった。夜神月が彼女を背後から抱きしめ、留めたからだ。
今度こそ彼女は困り果て、引きつった笑顔を浮かべつつ、私に助けを求めるかのように視線を向けてくる。が、私にはどうする事もできない。


「……月くん?」
「うん」
「……月くん……」
「うん」


彼女は腹に回された腕をやんやわりと叩き、離してくれと合図するも、夜神月は適当な相槌を打つだけ。
離す気など露ほどもない。ようやく彼女がそれを察すると、方向性を変えて夜神月を操ろうと苦心していた。

「……月くん。あの……私、座りたいな」
「この間みたいに、僕の膝に乗せてあげようか?」
「………椅子に座りたい……」

夜神月は楽し気に笑っているが、彼女は随分と困っている。
彼女は基本夜神月にされるがままというか…滅多な事で怒ったり動じる性質ではないようだが、今ばかりは途方にくれている。

「月くん、あっち」

がダメ元で指さした先は、本部に設置されているソファーだ。
夜神月は一度腕を離し、の手を引き望む通りにソファーの元へ連れていき、隣同士に腰掛けた。
はこれでひとまずは危機を脱したかもしれない。しかしこうなると、私が困る。
弥海砂の部屋でしているように、家具の間隔を狭めれば、手錠をしていても三人でテーブルを囲める事だろう。
しかし私はただ、無為に時間を過ごすだけになる。

「夜神くん。これでは私が捜査に取り掛かれません」
「……ならこうしようか」

夜神月は立ち上がり、デスクに近いところにあるソファーに手をかけた。
そのままずり寄せ、私達が普段使っているデスク近くまで寄せた。
手錠をしていても、十分私はデスク前の椅子に腰かける事ができ、そして彼等はソファーに座れる位置に。

「…そこまでしますか」

呆れはするが、私がパソコンに向き合えるようになったのなら、それ以上何も言うことはない。
夜神月は彼女を心配していた。ひとしきり心配し、無事をしっかりと確かめれば、気が済むだろう。
そう思い暫くは様子をみていたが、一向に気が済む気配がない。
こうなると、私は口だししない訳にはいかない。誰かが言わなければ「離れ難い」と言って永遠にひっついているのだろうし、模木さんや松田さんは強く言えないだろう。
かと言って、父親である夜神さんにそれをさせるのも酷だ。
そうなると、私がやる他ない。

「月くん、いい加減捜査に戻ってくれませんか」
「遊んでるつもりはないよ」
さんの顔ではなく、画面をみてください」

夜神月は本気で言っているらしい。誰がどう見ても遊んでいる…いや現を抜かしているようにしか見えないというのに。
そこまで言うと、デスクに戻ってくる事はなかったが、ローテーブルに積まれていた捜査資料をめくり始めて、一応仕事を始める事にしたらしい。
ちらりと見たは、やはり途方に暮れていた。
だというのに文句ひとつ言う事なく夜神月の我儘に付き合っているのは、彼女なりの愛なのだろう。


しばらくそうして時間を過ごしていると、模木さんの携帯が鳴り出した。

『モッチーミサでーす!入れてー』

モニターには、エントランスで手を振る弥海砂の姿が映っていた。気づいてもらうために一応模木さんの携帯に連絡を入れたのだろう。
模木さんはセキュリティーを解除しに行こうとしたのだろう、本部から急ぎ足で出て行った。


「ミサ」
「…やっぱりナース服着てる…」

は「やっぱり」というからには、弥海砂の脱走の一部始終でも目撃したのかもしれない。
すぐに模木さんは弥海砂を連れて本部へと上がってきた。


「ライトー!火口がキラだよー」

弥海砂はポケットから携帯を取り出して、満面の笑顔で夜神月に報告した。
彼女はサラッと言っているが、とてつもなく重要な機密情報だ。
セキュリティーは万全だし、盗聴される恐れもない、信用のおける人間しかここにはいない、
しかしそんな風に底抜けに明るく声にするような事柄ではないはずだ。


「これ聞いて。こっそり録音したの。携帯って超便利」

携帯を持ちあげながら再生ボタンを押す。皆が弥海砂の掲げる携帯に注目する中、少し荒い音声が流れ出した。


『俺はキラだからミサちゃんに信用してもらう為に、今から犯罪者裁きを止める。そして俺がキラだとわかってもらえたら、結婚だ!』


それを聞くと、まず夜神さんと松田さんが肯定的な反応を示した。

「これで犯罪者裁きが止まったら火口って事に…局長が一番気にしていた裁きも止まる。凄いよミサミサ!」
「うむ」

けれど、夜神月はそうはしなかった。私は沈黙し、彼は何か言いたげに「……ミサ」と彼女の名を口にし、彼女がはしゃぐ様を見つめている。

犯罪者殺しが止まれば火口がキラの能力を持っていると考えて間違いない…
弥が夜神月の為にある程度やってくれるとは考えていたが…ここまでしてしまうとは…
しかし犯罪者殺しまで止まってしまったら肝心の殺し方を見るのが難しくなる…
……何か策を考えねば…
話が明るく進んでいく中、私と夜神月だけがいつまでも難しい顔をしていたのだった。


2025.11.18