歓喜と期待と平坦な音色
1.自称ボーカロイドを拾った日
めでたく、今日から、鏡音レン君がこの家に住まうことになりました!やったね!この干乾びた生活も、これで華が咲き乱れるに違いない!
そんな期待を胸に、ささやかながら歓迎会のようなものを開こうと、「レン君、何か食べ…」と言いかけたところで、はたと気が付いた。
…ボーカロイドって、食べ物、食べるの…?壊れず食べれたところで、消化できるの?
食べたものって、どうなる、の…?いくら技術が発達しているんだろうと思えど、流石に、それ、は、…
…一応、聞いてみない、ことには、ね…?
そう思って、意を決して私はごくりと喉を鳴らしながら問いかけてみた。
「レン君、あの、君は、ご飯とか食べれるの?」
「ご飯…食事」
「そうそう」
ドキドキしながら聞いてみると、ぼーっとした顔をしながらも、こて、と首を傾げた。
可愛すぎて迷わずシャッターを押して「気にしないで」と告げるも、<彼はもうシャッターフラッシュを浴びせられすぎて、慣れたらしい。
順応力高っい…これは大物だ…
そんなレン君は、言った
「食べたもの、飲んだもの、全て体内で、分解されて、エネルギーになる」
「おお…!凄い!なんかSFの世界みたい!」
「ただ、今まで、何も、食べたこと、ない、…から?…、わからない」
「えええええ!??」
まさか食べ物が動力になるなんて、この世も、今の技術も捨てたものじゃない。ていうか有り得ない域に達しすぎてて、突っ込みどころはあるけども、
レンが存在している時点で有り得ないことは起きているので、突っ込みはしなかった。それを否定してしまうともう根本からあり得なくもなってしまう。柔軟に生きるということは大事である。…だよね!
が、動力になるのよね?でも食べたことない?彼は一人でいったいどうやって生きていたんだろう…というか、一度も食べさせて、もらえなかったのか
一度も食べたことがないからわからない、という言葉は恐いけど、彼のその自身についての知識を信じて、食べてもらたいとも思う。
願望だけでなく、動力を失ったら、大変でしょう。
「ジュースとか、スープとか、お肉とか野菜とか、消化に悪そうなものも、全部いけるはず?」
「たぶん、消化、存在する」
「なら、まずは飲み物から攻めていこうか、うん」
流石にお肉からがっつり、とはいけないかなぁ…美味しくて、インパクトのあるもの…暖かいものがいいでしょう。
つってもそこまで豊富に食材があるわけじゃないし。…あ、でも牛乳買ったばっかりだし、
暖めてハチミツ入れてホットミルクでいいかな。うん、私も飲みたいや。
「レン君、私台所に行って飲み物作ってくるね」
「……、」
「ん?どうしたの?」
そのことを告げると、レンはじ、っと私のことを見つめ続けて何かを訴えているように思える。…けど、さっぱりわからない。
とりうえず、「…ついて来る?」と聞いてみると、こくんと頷いたので、私は手招きしてリビングからダイニングへと繋がる扉を開いた。
「ここがキッチンです。台所。来たことある?」
「…ない」
「そっかー。えっとね、これが冷蔵庫。ご飯の元になる、材料を冷やしてる。傷まないようにね」
「…いたむ?」
「うん、食べるとお腹が痛くなったりするの、傷むと」
「…傷む、悪い」
「うん、そうそう、偉い偉い」
…なんていうか、なー。
冷蔵庫から牛乳を取り出しながら、「牛乳。牛っていう動物の乳を搾った飲み物」と説明しながらも、
なんとなくレンのことがわかってきた。会話は理解してる。言語能力はある。知能もある。
ただ、色んなことを知らないだけ。
台所だとか、冷蔵庫だとか、食材のことだとか、牛のことだとか。言葉というより、拙い単語で話してる感じがあるんだよなぁ。
知ってしまえば理解するしきっと覚えるんだろう。
ボーカロイドって、そんなものなんだろうか。マスターという、言わば親のような人間に、言葉から何から教えてもらう。
初期は赤子のようなものだったり…?
なら、レンには今まで、誰も教える人間はいなかったんだろうか。ここまで、理解できるまで、どうやって生きてきたんだろう。
「この電子レンジという機械で、牛乳とハチミツを暖めます」
「温め、る」
「すると、もっともっと美味しくなります」
「……凄い、機械?」
「そうだねー。これが無かったら、生き辛いかもねぇ」
多少は。
絶対に無ければならないってわけではないし。
でもレンは真に受けてしまってるし、言葉も考え物か、いやいやまあ正しいっちゃ正しいし、と思いつつ、
チンッと音を上げたレンジから、熱くなったカップを取り出した。
それをレンに持たせると、「……!??」と手を勢いよく離した。
が、ある程度予想はしていたので、持ち手は離していなかった。落下は免れたなぁ…。
熱いのも、初めてなんだろう、なぁ…
「命名、ホットミルク。少しふーふーして冷ましてから飲みましょう。火傷するから」
「……ホットミルク。火傷、する」
「そうそう。猫舌だったら大変だねー。」
「ねこじた?」
「猫っていう生き物みたいに、熱いのが苦手な舌のこというの」
「…変」
「あはは。誰が考えたんだろうね」
念入りにふーふーと、見よう見真似で冷ましていたレンも、
やっとホットミルクに口をつけた。
あまり表情に変化はないけども、多分嫌な顔はしてないから飲めはするんだろう。笑わない子だし、裏で我慢してたら見抜けないかもしれない。それは、嫌だなぁ。
ゆっくり、付き合っていけば、わかるかなぁ。
…それにしても…
多分、レンは、頭がいい。
「…ねぇ、レン、って呼んでいい?」
「…マスターは、俺、好きにできる。了承、必要ない」
「…うん。そこら辺は追々話していこうね、色々…。」
呼び捨てをしていいか聞いただけなのに、マスター呼びされたこともドギマギしたし、
このレンの発言にもくらりとした。
まあ今ここであれこれ言っても仕方がないし。とりあえず目先のことから潰していこう。
こくこくとホットミルクを飲んでるレンに、聞いてみた。
「ねえ、レンは、文字読めるの?」
「…日本語、の、こと?英語の、こと?それ、とも…」
「えっいや英語は流石に…ていうか、レン、もしかして英語読めるの?」
「…読める…、話、する。日本語も、少し」
「…!!すっごい!すっごい!私英語はからっきしでさぁ…、あ、全然駄目ってことね。理解できなくて」
「…じゃあ、話さない、ように、する」
「…お気遣いありがとう…有り難いかな…」
うん、有り難いんだけど、この、虚しい感じ、うん。気遣われてるや…。
…それは置いておいて、レンって、英語話せるんだ…?ボーカロイドのこと、色々調べたときに、英語でも日本語でもバッチリ歌える、
バイリンガル的な女の子が居た気がするけど…レンが英語を操れるっていうのは、どこにも書いてなかったなぁ…
日本語で英語っぽく喋らせる、歌わせる、っていうのはあるみたいだけど、そういう機能はなかった気がする。何故…?
…まあ、あくまで音声ソフトである存在と、ここに存在するアンドロイドである子たちは、色々勝手が違うのかもしれない。
まあそれなら、と聞いてみた。
「じゃあ、本とか、読んでみない?」
「…本?いい、の?」
「私の部屋に大きい本棚があるんだけどね。ほら、色々勉強しておいた方がいいと思って。知ることが増えたら、色んなことが出来るようになるよ。
例えば…映画とか、テレビ見たり?今のままだと、何言ってるかさっぱりかもしれないし。あと、パソコンも使えるようになるし、自分でポエム書いたり…」
「…ぽえむ?」
「…ごめん、聞かなかったことにしてね」
理解できない本にかじりつくっていうのも、中々苦しいものがあると思って、
読み終わってから出来ること、メリットを挙げてみた。この中に興味があることが存在するのかはさておき、
…ポエムは、私の趣味でした恥ずかしい普通の人はしないや!!!
純粋な曇りない瞳で問いかけられると穴に埋まってしまいたくなる。
けども、とりあえず、本について真っ赤になった顔でしれっと話してみた。それと共に、リビングから私の自室に連れて行ってみる。
ちょこちょこと後ろをついてくるレンを確認しながら、ドアを開いた。
「ここの本棚、好きに使っていいよ」
「…好き、に?なんでも、自由?」
「自由自由。あ、ぼろっちい古い本もあるけど、壊れても気にしないで。あれよくバラけるのよ」
「…いい、の?」
「全然いいよ。…なんか、気に入りそうなタイトル、あった?」
「……こ、れ」
「…それ…は…」
果物百科事典。
あえて何故それをチョイスしたのか気になりどころだけど。ほんっとに気になりどころだけど、「うん、読んでみて。そこのソファー使っていいよー」とさらりと流してみた。
…もしかしたら果物が好きなのかもしれないし、彩り豊かな艶々の写真に惹かれたのかもしれないし…
うん。文字の勉強にはあまりならない気もするけど、本人が楽しいなら。
それから始めた方がいいね。…私は…
明日の予習でもしてようかなぁ…明日は、近くの大学で、生徒を相手にして講習会を開く。
バタバタしていて事前準備が全く出来てないことには薄々気がついていたけど、
詰め込むのだけは上手いから。自称だけど。
そうして机に向かって私は短期間集中に入った。だから、本当に時間が経つのがわからなくって、
気が付いたら夕方なんていうのは程遠く、深夜、日付もとっくに跨いでる時間で。
慌てて「ごめん、レン!私すっかり集中してて!」と振り返ったとき。
レンは本棚に本を戻しているところだったみたいで、けろっとしてる様子にホッとしたところで。
爆弾(のような衝撃)は投下された。
1.自称ボーカロイドを拾った日
めでたく、今日から、鏡音レン君がこの家に住まうことになりました!やったね!この干乾びた生活も、これで華が咲き乱れるに違いない!
そんな期待を胸に、ささやかながら歓迎会のようなものを開こうと、「レン君、何か食べ…」と言いかけたところで、はたと気が付いた。
…ボーカロイドって、食べ物、食べるの…?壊れず食べれたところで、消化できるの?
食べたものって、どうなる、の…?いくら技術が発達しているんだろうと思えど、流石に、それ、は、…
…一応、聞いてみない、ことには、ね…?
そう思って、意を決して私はごくりと喉を鳴らしながら問いかけてみた。
「レン君、あの、君は、ご飯とか食べれるの?」
「ご飯…食事」
「そうそう」
ドキドキしながら聞いてみると、ぼーっとした顔をしながらも、こて、と首を傾げた。
可愛すぎて迷わずシャッターを押して「気にしないで」と告げるも、<彼はもうシャッターフラッシュを浴びせられすぎて、慣れたらしい。
順応力高っい…これは大物だ…
そんなレン君は、言った
「食べたもの、飲んだもの、全て体内で、分解されて、エネルギーになる」
「おお…!凄い!なんかSFの世界みたい!」
「ただ、今まで、何も、食べたこと、ない、…から?…、わからない」
「えええええ!??」
まさか食べ物が動力になるなんて、この世も、今の技術も捨てたものじゃない。ていうか有り得ない域に達しすぎてて、突っ込みどころはあるけども、
レンが存在している時点で有り得ないことは起きているので、突っ込みはしなかった。それを否定してしまうともう根本からあり得なくもなってしまう。柔軟に生きるということは大事である。…だよね!
が、動力になるのよね?でも食べたことない?彼は一人でいったいどうやって生きていたんだろう…というか、一度も食べさせて、もらえなかったのか
一度も食べたことがないからわからない、という言葉は恐いけど、彼のその自身についての知識を信じて、食べてもらたいとも思う。
願望だけでなく、動力を失ったら、大変でしょう。
「ジュースとか、スープとか、お肉とか野菜とか、消化に悪そうなものも、全部いけるはず?」
「たぶん、消化、存在する」
「なら、まずは飲み物から攻めていこうか、うん」
流石にお肉からがっつり、とはいけないかなぁ…美味しくて、インパクトのあるもの…暖かいものがいいでしょう。
つってもそこまで豊富に食材があるわけじゃないし。…あ、でも牛乳買ったばっかりだし、
暖めてハチミツ入れてホットミルクでいいかな。うん、私も飲みたいや。
「レン君、私台所に行って飲み物作ってくるね」
「……、」
「ん?どうしたの?」
そのことを告げると、レンはじ、っと私のことを見つめ続けて何かを訴えているように思える。…けど、さっぱりわからない。
とりうえず、「…ついて来る?」と聞いてみると、こくんと頷いたので、私は手招きしてリビングからダイニングへと繋がる扉を開いた。
「ここがキッチンです。台所。来たことある?」
「…ない」
「そっかー。えっとね、これが冷蔵庫。ご飯の元になる、材料を冷やしてる。傷まないようにね」
「…いたむ?」
「うん、食べるとお腹が痛くなったりするの、傷むと」
「…傷む、悪い」
「うん、そうそう、偉い偉い」
…なんていうか、なー。
冷蔵庫から牛乳を取り出しながら、「牛乳。牛っていう動物の乳を搾った飲み物」と説明しながらも、
なんとなくレンのことがわかってきた。会話は理解してる。言語能力はある。知能もある。
ただ、色んなことを知らないだけ。
台所だとか、冷蔵庫だとか、食材のことだとか、牛のことだとか。言葉というより、拙い単語で話してる感じがあるんだよなぁ。
知ってしまえば理解するしきっと覚えるんだろう。
ボーカロイドって、そんなものなんだろうか。マスターという、言わば親のような人間に、言葉から何から教えてもらう。
初期は赤子のようなものだったり…?
なら、レンには今まで、誰も教える人間はいなかったんだろうか。ここまで、理解できるまで、どうやって生きてきたんだろう。
「この電子レンジという機械で、牛乳とハチミツを暖めます」
「温め、る」
「すると、もっともっと美味しくなります」
「……凄い、機械?」
「そうだねー。これが無かったら、生き辛いかもねぇ」
多少は。
絶対に無ければならないってわけではないし。
でもレンは真に受けてしまってるし、言葉も考え物か、いやいやまあ正しいっちゃ正しいし、と思いつつ、
チンッと音を上げたレンジから、熱くなったカップを取り出した。
それをレンに持たせると、「……!??」と手を勢いよく離した。
が、ある程度予想はしていたので、持ち手は離していなかった。落下は免れたなぁ…。
熱いのも、初めてなんだろう、なぁ…
「命名、ホットミルク。少しふーふーして冷ましてから飲みましょう。火傷するから」
「……ホットミルク。火傷、する」
「そうそう。猫舌だったら大変だねー。」
「ねこじた?」
「猫っていう生き物みたいに、熱いのが苦手な舌のこというの」
「…変」
「あはは。誰が考えたんだろうね」
念入りにふーふーと、見よう見真似で冷ましていたレンも、
やっとホットミルクに口をつけた。
あまり表情に変化はないけども、多分嫌な顔はしてないから飲めはするんだろう。笑わない子だし、裏で我慢してたら見抜けないかもしれない。それは、嫌だなぁ。
ゆっくり、付き合っていけば、わかるかなぁ。
…それにしても…
多分、レンは、頭がいい。
「…ねぇ、レン、って呼んでいい?」
「…マスターは、俺、好きにできる。了承、必要ない」
「…うん。そこら辺は追々話していこうね、色々…。」
呼び捨てをしていいか聞いただけなのに、マスター呼びされたこともドギマギしたし、
このレンの発言にもくらりとした。
まあ今ここであれこれ言っても仕方がないし。とりあえず目先のことから潰していこう。
こくこくとホットミルクを飲んでるレンに、聞いてみた。
「ねえ、レンは、文字読めるの?」
「…日本語、の、こと?英語の、こと?それ、とも…」
「えっいや英語は流石に…ていうか、レン、もしかして英語読めるの?」
「…読める…、話、する。日本語も、少し」
「…!!すっごい!すっごい!私英語はからっきしでさぁ…、あ、全然駄目ってことね。理解できなくて」
「…じゃあ、話さない、ように、する」
「…お気遣いありがとう…有り難いかな…」
うん、有り難いんだけど、この、虚しい感じ、うん。気遣われてるや…。
…それは置いておいて、レンって、英語話せるんだ…?ボーカロイドのこと、色々調べたときに、英語でも日本語でもバッチリ歌える、
バイリンガル的な女の子が居た気がするけど…レンが英語を操れるっていうのは、どこにも書いてなかったなぁ…
日本語で英語っぽく喋らせる、歌わせる、っていうのはあるみたいだけど、そういう機能はなかった気がする。何故…?
…まあ、あくまで音声ソフトである存在と、ここに存在するアンドロイドである子たちは、色々勝手が違うのかもしれない。
まあそれなら、と聞いてみた。
「じゃあ、本とか、読んでみない?」
「…本?いい、の?」
「私の部屋に大きい本棚があるんだけどね。ほら、色々勉強しておいた方がいいと思って。知ることが増えたら、色んなことが出来るようになるよ。
例えば…映画とか、テレビ見たり?今のままだと、何言ってるかさっぱりかもしれないし。あと、パソコンも使えるようになるし、自分でポエム書いたり…」
「…ぽえむ?」
「…ごめん、聞かなかったことにしてね」
理解できない本にかじりつくっていうのも、中々苦しいものがあると思って、
読み終わってから出来ること、メリットを挙げてみた。この中に興味があることが存在するのかはさておき、
…ポエムは、私の趣味でした恥ずかしい普通の人はしないや!!!
純粋な曇りない瞳で問いかけられると穴に埋まってしまいたくなる。
けども、とりあえず、本について真っ赤になった顔でしれっと話してみた。それと共に、リビングから私の自室に連れて行ってみる。
ちょこちょこと後ろをついてくるレンを確認しながら、ドアを開いた。
「ここの本棚、好きに使っていいよ」
「…好き、に?なんでも、自由?」
「自由自由。あ、ぼろっちい古い本もあるけど、壊れても気にしないで。あれよくバラけるのよ」
「…いい、の?」
「全然いいよ。…なんか、気に入りそうなタイトル、あった?」
「……こ、れ」
「…それ…は…」
果物百科事典。
あえて何故それをチョイスしたのか気になりどころだけど。ほんっとに気になりどころだけど、「うん、読んでみて。そこのソファー使っていいよー」とさらりと流してみた。
…もしかしたら果物が好きなのかもしれないし、彩り豊かな艶々の写真に惹かれたのかもしれないし…
うん。文字の勉強にはあまりならない気もするけど、本人が楽しいなら。
それから始めた方がいいね。…私は…
明日の予習でもしてようかなぁ…明日は、近くの大学で、生徒を相手にして講習会を開く。
バタバタしていて事前準備が全く出来てないことには薄々気がついていたけど、
詰め込むのだけは上手いから。自称だけど。
そうして机に向かって私は短期間集中に入った。だから、本当に時間が経つのがわからなくって、
気が付いたら夕方なんていうのは程遠く、深夜、日付もとっくに跨いでる時間で。
慌てて「ごめん、レン!私すっかり集中してて!」と振り返ったとき。
レンは本棚に本を戻しているところだったみたいで、けろっとしてる様子にホッとしたところで。
爆弾(のような衝撃)は投下された。