第一話
1.来来世─はじまり
──私には家族がいなかった。
ついでに言えば、帰る家もない。
親の庇護のない子供がどうなるかなんて分かり切っていて、私は地に足が付かない生活を送っていた。
そういう子供は少なからずこの国にはいて、生活は厳しくとも幸い生きれるだけの援助は幸い受けられていた。
私の境遇を知れば、ほとんどの人は孤児を憐れむ。
かわいそう。愛されない子。守られない子。貧しい子。環境だけではない。きっと心まで寂しいに違いない。
…というのが皆の共通認識らしいと、私は早いうちに悟る事になる。客観的に自分をみれば、そうかもしれないなと思えたけれど。
「寂しくなんてないよ」
そう憐れまれても、私は決まって首を横に振った。
──だって私は転生者なのだから。
前世と今世分の年を合わせたら、いったい私は何歳になるだろう。あんまり知りたくない。
蓄積された経験や知識でどうとでも暮らせたし、親がいなかろうが寂しくなかった。
私は上手く生きられていると思う。純粋な子供だった前世の頃は、そりゃあ思春期もあった。気弱な時期も積極的な時期もあった。
そういう時期があった過去よりも、積み重ねてきた現在の私の方が、一番安定した土台の上に立てていると思う。身体がいくら幼くとも。
経験は盾にもなり、知識は原動力にも代えられる。
生きていれば楽しい事も悲しいことも、等しく訪れる事を知っていた。
自分が随分とふてぶてしくなったという自覚はあって、
──そうは言っても。
「……ここ、どこ…?」
──時間も世界も跨いで、それでも強かに生きれる程、私は強者ではない。
気が付くと、見慣れた現代の街並みとは随分違うそこに私は立っていた。
今の私は最低限の衣食住の保障もされない、正真正銘の…ついでに言うと無一文の、最底辺の子供だった。
1.来来世─はじまり
──私には家族がいなかった。
ついでに言えば、帰る家もない。
親の庇護のない子供がどうなるかなんて分かり切っていて、私は地に足が付かない生活を送っていた。
そういう子供は少なからずこの国にはいて、生活は厳しくとも幸い生きれるだけの援助は幸い受けられていた。
私の境遇を知れば、ほとんどの人は孤児を憐れむ。
かわいそう。愛されない子。守られない子。貧しい子。環境だけではない。きっと心まで寂しいに違いない。
…というのが皆の共通認識らしいと、私は早いうちに悟る事になる。客観的に自分をみれば、そうかもしれないなと思えたけれど。
「寂しくなんてないよ」
そう憐れまれても、私は決まって首を横に振った。
──だって私は転生者なのだから。
前世と今世分の年を合わせたら、いったい私は何歳になるだろう。あんまり知りたくない。
蓄積された経験や知識でどうとでも暮らせたし、親がいなかろうが寂しくなかった。
私は上手く生きられていると思う。純粋な子供だった前世の頃は、そりゃあ思春期もあった。気弱な時期も積極的な時期もあった。
そういう時期があった過去よりも、積み重ねてきた現在の私の方が、一番安定した土台の上に立てていると思う。身体がいくら幼くとも。
経験は盾にもなり、知識は原動力にも代えられる。
生きていれば楽しい事も悲しいことも、等しく訪れる事を知っていた。
自分が随分とふてぶてしくなったという自覚はあって、
──そうは言っても。
「……ここ、どこ…?」
──時間も世界も跨いで、それでも強かに生きれる程、私は強者ではない。
気が付くと、見慣れた現代の街並みとは随分違うそこに私は立っていた。
今の私は最低限の衣食住の保障もされない、正真正銘の…ついでに言うと無一文の、最底辺の子供だった。